年間第12主日(6月21日)の説教(テキスト)

今日、お話したいことは福音・宣教についてです。
復活したイエスが天に戻ってしまい、茫然と空を見つめている弟子たちに、天使は「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を仰いで立っているのか?」(使徒行録1-10)福音・宣教の仕事に取りかかるように促しました。それでは、この福音・宣教には、何が一番大切でしょうか?
今日の福音(マタイ10-26~33)で、イエスは「人々を恐れてはならない」と言いました。この言葉を味わってみましょう。

教会では、福音・宣教のために様々な企画が行われていますが、大事なことは心地よい内輪の集まりの中に留まらず、勇気をもって教会の内外の「自分と大きく異なる人々」と交わりを持とうとすることです。初代教会のころから、すでに教会は外にあっては迫害、内にあっては内部の不和にさいなまされてきました。自分と大きく異なる人々との交わりは、当時も今も決して甘いものではなく、よく準備しなければなりません。

先般フランスに一時帰国した際、私は中国宣教に関する興味深い本を入手しました。中国宣教をリードしたイエズス会は、中国支配層を布教のターゲットとし、中国上流層の衣装をまとい「どの層に働きかける」という精緻な布教戦略がありました。このようなテクニック重視というやりかたよりも、今ではより民衆を恐れず、直接民衆の中に入っていくことのほうが大事と思います。私がパリ外国宣教会(MEP)で宣教師として送り出された時に、派遣の儀式というものがありました。そこで歌われた聖歌の歌詞に「殉教を覚悟する」というところがあり、少し驚いたことを覚えています。人々を恐れず、異なる世界に飛び込んでいく、ということを強く表現したものでしょう。

「恐れ」の反対の言葉は「信仰」だと思います。私たち誰もが結局は神様の手のひらの上にいることを思い出し、異なる他者との交流の前に、謙虚に自分自身を見つめ、また異なる他者も神様に造られた子供であることを思いだしましょう。そして誰もが「疑心暗鬼」にとらわれた結果「自己防衛」に走り、互いに「自己防衛」を行うことが不和や争いになっていることに気づきましょう。「やられたら、やり返す」という地獄の循環から抜け出す方法は、信仰しかないのです。

では、その信仰を育てるにはどのようにすれば良いのでしょうか。まず三つのことをお話します。

①謙虚になること
信仰というものは、自動車にもたとえられると思います。ハンドル操作はイエズス会の中国宣教のようなテクニカルなもの、理想を現実に合せて進めるアクセルとブレーキのようなものもあるでしょう。しかし一番重要な、推進力であるエンジンは、自分自身が謙虚になり神と出会うことです。
②祈ること
どんなに知識をもっても、財力をもっても、人間は自分の人生をコントロールすることなどできず、常に不安で一杯です。夜の暗闇が怖い小さな子供は、正直に闇が怖いので電気を消さないで、と親に叫ぶでしょう。どんな親でも、そんな子供を可哀想に思い、電気を消さなかったり、あやしたりするでしょう。それと同じように、私たちも正直に神様にお祈りしましょう。
③連帯すること
以前の赴任先ではわたくしは勤労青年達の集まりを支援していました。社会的な立場、背景はさまざまですが、神様を信じるという点では差や区別は無く、お互いすべてが「金銀のように値打ちある」人々の集まりでした。集まって連帯することは極めて大切です。

そして一番重要なことを申し上げます。
判断力を育てて行動する、ということです。
浮世といわれるように、人の世も世相も変わり続け、不動の価値観などないかのようです。そのような中、周りの人すべてがクルクルまわる風見鶏のように見えてしまい、結局はお金しか信じられなくなってしまいます。このような中、信仰を育てるのは容易なことではありません。私たち皆は、天を目指して険しい山を登っているようなものですが、何が「希望」と「絶望」をわける尾根線なのか、判断する力を育てなければなりません。このために、聖書を良く読んでみましょう。イエスの人々との交わりかた、イエスが人々からいじめられたり、計略にはめられそうな時にどのように対処したか、などをよく見てみましょう。
イエスは決して傍観者ではありませんでした。神様を信じて、勇気をもって戦っていたのです。ここで戦う、という意味は勇猛に喧嘩したり激怒するということではなく、困っている弱者にしっかりと支援する立場を表明し寄り添ってあげる、ということです。これはとりもなおさず、「何かを変えるためには、まず私たち自分自身を変えなければならない」、ということです。これには大変な努力が必要ですが、先に申しましたように、「自分は常に神と共にいる」と意識することで初めて可能になるものです。(要約:北川恵)

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https://www.youtube.com/watch?v=oPCLXrb8KNQ